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平成23年6月 慢性期医療学会


人として向き合う看とりのあり方
ーエンゼルメイクを導入してみえてきたことー 
発表者  看護部長 枝村明美 
【はじめに】
当院の死後の処置は、寄せ集めの化粧品での死化粧、腹部圧迫による胃腸内排泄物除去、体腔への綿詰め、合掌した手や顎のゴムバンド固定、家族は病室外で待機というのが当たり前だった。そこでエンゼルメイクを導入。1年が経過し看とりのケアの方法とスタッフの意識に変化が見られたので報告する。

【方法】
1.エンゼルメイク勉強会開催 
2.死後処置セットからエンゼルメイクセットへ変更
3.エンゼルメイクに関するアンケート調査実施(看護師44名、介護職44名)

【結果】
エンゼルメイクの実技も含む勉強会には46名(52%)が出席。勉強のあとエンゼルメイクを実施している(「完全ではないが実施している」を含む)51名(62%)、エンゼルメイクに家族を参画させている30名(58%)、エンゼルメイク導入後の意識の変化「家族にみてもらえる化粧ができるようになった」「患者が元気だったころの様子を家族に聞きながら化粧をするようになった」「家族がメイクを一緒にやったことを喜んでくれ、自分自身も癒された」「家族に一緒にメイクをどうですかと声をかけるよう、心がけてやるようになった」「自分の最後も家族にやってもらいたい」

【考察】
エンゼルメイクを導入して、今まで当たり前のように行っていた「死後の処置」が「ケア」に変わりつつある。寄せ集めの化粧品の使用をやめ、同時に体腔への綿詰めにかわりニュークリーンジェル(体液漏れ止め剤)を使用するなど、専用のメイクセットを使うことで家族にも見せられる自然のメイクになってきたからだと考える。そして家族と共に最後のケアを行うことで、家族のグリーフケアになっていると実感出来てきたからだと考える。また、職員自身の癒しにもつながっているということがわかった。

【まとめ】
患者の最後の様子や表情は、いつまでも家族の心に残る。家族が最後まで患者に寄り添えたという思いを持ってもらえるような、やさしい最後の看とりが求められる。